プロジェクト概要
百生量子ビーム位相イメージングプロジェクトでは、高エネルギー光子(X線)や中性子、電子などの量子ビームの波としての性質を利用して、量子ビームが物体を透過する際に生じる位相の変化(位相情報)を活用する、「位相イメージング」技術の飛躍的な展開を目指します。位相検出の鍵となる光学系の研究や新奇光学素子の開発を通じ、先端素材や複合材料、デバイス、さらには実際に利用される製品に至るまでのマルチスケールで、これまで検出できなかった物質の不均一構造や状態を可視化します。また、X線位相イメージングで得られた知見を基に、中性子線や電子線を用いた位相イメージングへの技術展開を図り、さまざまな量子ビームの位相情報を相補的に活用する高度なイメージングプラットフォームの構築を進めます。X線を用いた位相イメージングでは、とくに動的手法および顕微手法による生体軟組織やソフトマターのイメージング技術の開発に重点を置き、中性子線位相イメージングでは、磁性材料などの構造と磁気情報の同時可視化に取り組みます。さらに、走査型位相差電子顕微鏡や反射型位相差電子顕微鏡など、電子線を用いた位相イメージング技術の開発を進め、計算機・情報科学分野における最先端の画像解析技術なども導入し、位相イメージングの可能性を最大限に引き出すためのアプローチを追求します。
位相計測を基盤とした複数の量子ビームプローブ技術を連携的に使用して、素材からデバイス・実装体レベルまでの幅広い空間スケールでの三次元高感度可視化を実現し、素材産業(ソフトマテリアル、複合材料、etc.)、デバイス産業(エネルギーデバイス、電子デバイス、etc.)、医療産業等に貢献できる高度イメージング技術を構築します。