主な研究テーマ

ポリマーブレンド相分離の三次元観察

X線位相コントラスト法は生体組織以外に、ソフトマターの観察にとっても非常に魅力的です。 Bonse-Hart型X線干渉計およびX線タルボ干渉計をポリマーブレンドの相分離構造の三次元観察に応用し、プラスチック材料科学への貢献を目指しています。 プラスチック材料は一般に複数のポリマーのブレンドで構成されています。 これは、単一のポリマーでは実現できない属性をブレンドすることにより持たせることができるからです。実際は完全に相溶することなく、異種のポリマー間で相分離(スピノーダル分解)が起こり、 それに基づく三次元構造が材料の力学的性質に大きな影響を与えています。言うまでも無く相分離構造を三次元的に可視化する技術が求められます。 我々の技術は、この系でコントラストを付けられる貴重な三次元観察法であるといえます。 下図はポリスチレン(PS)とポリメチルメタクリレート(PMMA)のブレンドを観察した結果です。共連結構造が明瞭に描出されています。

図 ポリスチレンとポリメチルメタクリレートのブンレドの位相CTによる観察結果。(b)はPS-rich部位を透明処理した3Dレンダリング像。