主な研究テーマ

X線Talbot干渉計の特長に、広いバンド幅の連続X線でも機能することが挙げられます。この特長を活かすと、例えば強力な白色シンクロトロン放射光および高速カメラを組み合わせて、ミリ秒オーダーの高速X線位相イメージングを行うことができます[1][2]。さらに試料を回転しながら物体の撮影を行えば、通常の三次元(3D)位相トモグラフィに時間軸を加えた4D位相トモグラフィが実現できます[2][3]。これによって、物体内部の変形などを動画として高感度に撮影することができます。

図は4D位相トモグラフィによって、白色放射光照射による接着剤中の気泡の成長の様子を観察したものです[2]。このように物体内部の変化の様子をサブ秒の時間分解能で三次元的に撮影することができます。現在、生体試料の内部組織の運動の様子[2][3]や材料の力学応答の観察など、様々な応用が期待されています。

X線照射直後               2秒後

 

4秒後                  6秒後



図 4D位相トモグラフィによって撮影された接着剤の断面像。白色放射光の照射によって気泡が成長している様子が見られる(4D位相トモグラフィの動画(ブドウスカシバの幼虫の例)については[3]を参照)。


[1] A. Momose, W. Yashiro, H. Maikusa, and Y. Takeda, "High-speed X-ray phase imaging and X-ray phase tomography with Talbot interferometer and white synchrotron radiation", Opt. Exp. 17 (2009) 12540-12545.
[2] A. Momose, W. Yashiro, S. Harasse, H. Kuwabara, and K. Kawabata, "Four-dimensional x-ray phase tomography with Talbot interferometer and white synchrotron light", SPIE proceedings 7804 (2010) 780405.
[3] A. Momose, W. Yashiro, S. Harasse, and H. Kuwabara,"Four-dimensional X-ray phase tomography with Talbot interferometry and white synchrotron radiation: dynamic observation of a living worm", Opt. Exp. 19 (2011) 8423-8432.